「怪奇ゾーン グラビティフォールズ」 一夏の奇妙な思い出が子供をちょっぴり大人にする

キングダムハーツⅢを無事シークレットムービーまで終わらせて一息ついています。

いま感想を書くと衝動的なものになりそうなのでもう少し落ち着かせてから書こうと思います。

シリーズ最後の作品ということもあっていろいろこみ上げる感情もあるので。

 

 

じゃぁ今回は何を語るのか、と言いますとですね。

怪奇ゾーン グラビティフォールズ」です。

ディズニーチャンネルにて放送されたディズニーのテレビアニメシリーズなんですが、ディズニーチャンネルオリジナル作品という存在自体をおそらく多くの方は知らないかと思います。

実はこのディズニーチャンネルにて放送されているアニメは名作揃いで、「フィニアスとファーブ」や「小さなプリンセス ソフィア」、あとは映画のその後を描く「ラプンツェルシリーズ」、「ベイマックスシリーズ」なんかがあるんですが、まぁその辺りも追い追い語ります。

ディズニーのアニメシリーズは古くはチップとデールのレスキューレンジャーやプーさんなどがありましたし、その辺りは僕ら世代(1990年代生まれ)だとテレ東でやってたりもしたので知ってる人もいるかもしれません。

 

グラビティフォールズは1話30分で全41話の、海外のアニメにしては短めのシリーズになります。

全編通してコメディ調のカートゥーンアニメ然とした絵柄で見てて笑える楽しい作品なんですが、舞台である"グラビティフォールズ"は奇妙なことが多発する不思議な町で、そこで起こる謎を解いていきながら町の真実に辿り着くという怪奇ミステリーも合わさったお話です。公式ではSFミステリーアドベンチャーとなっておりました。全部盛り!

散りばめられた伏線もしっかりしてて大人の鑑賞にも耐えうる作品です。

いや、これの作品はむしろ大人にこそ見てもらいたい作品なのです!

 

 

 

 

あらすじ

双子の姉弟であるディッパー・パインズとメイベル・パインズは、夏休みの間だけオレゴン州の静かな町グラビティフォールズに住むスタン大叔父さんのもとで暮らすことになった。

スタンはグラビティフォールズの不思議な品々を展示する屋敷"ミステリーハウス"の主だが、実際は偽物の展示品で観光客を騙す金の亡者の詐欺師だった。しかし、失望したディッパーが六本指の表紙が付いた謎の日誌"ジャーナル"を拾うと同時に、パインズ姉弟の周りで本物の超常現象が次々と起こり出していく。

グラビティフォールズには大きな謎が隠されていると考えたディッパーは、メイベルと「ミステリーツインズ」を結成し、日誌の記述を手がかりに謎を解き明かそうとするが…?

(Wikipediaより抜粋)

 

 

 

奇妙な町の奇妙な出来事、奇妙な人々

簡単に言ってしまえば、この作品は

「夏休みを利用して親戚の家で過ごし、非日常を体験する子供達のお話」である。

言っちゃえば『ぼくのなつやすみ』。

 

舞台のグラビティフォールズはアメリカの架空の田舎町。

ここでは毎日不思議なことが起こって、なんだか奇妙な人たちも暮らしてます。

 

怪奇とかSFとか好きな人なら思わず喰いついてしまうエピソードの数々で、話も軽快ながらその実めちゃくちゃ細かく伏線や後の話の細かいネタを仕込んできて大人だって飽きさせない出来なんです。

 

例えばゾンビ、ノーム、ネッシー、人魚、超能力少年、未来人、コピー人間(本当にコピー機でコピーした人間)、キューピッド、秘密結社、自我を持ったギャルゲーの攻略相手....etc

しかもこれらの怪異が一捻りもふた捻りもしたような形で出てくるので毎話毎話「今度はどんなとんでも怪奇現象が?」とワクワクしちゃう事必至。

 

奇妙なのは起こる怪奇現象だけじゃなくて、脇を固めるキャラクター達もどこか不思議。

主人公達の祖母の兄の大叔父さんのスタンは金儲けが大好きなインチキミステリーハウスの経営者だし、ミステリーハウスのアルバイトのスースはタダ働きだし言動がちょっとずれてるし、同じくバイトのウェンディはクールだけどサボリ魔だし…。この辺りは不思議ってより癖が強いって感じか。

町の住人では、なぜかいつも片目がしまってるおばさんウェイター、天災発明家のおじいさん、キツツキと結婚した男、常に一緒に行動してる男性警官二人組....etc

とにかくみんな腹に一物を抱えてる感じがして、誰も信用できない。

ディッパーとメイベルはこの町の謎を解く事ができるのか!

 

 

 

 

 

緻密に計算された伏線、全ての謎は収束する?

ジャンルにミステリーが付いてるくらいなので、もちろん謎解き要素(?)もあります。

毎話登場する怪奇の他にも話の本筋では、

 

・ディッパーが拾った謎の本「ジャーナル」とは何なのか

・「ジャーナル」の筆者は誰なのか

・「ジャーナル」の中にたびたび登場する「三角の目」とは

・そもそもこの町は何故これほど不思議な事が起こるのか

・普段はただの金に汚い男でしかないスタンが誰にも秘密で地下室で何をしているのか

 

という上記のような話全体を通して明らかになっていく謎なんかもあって、1話完結に収まらないシリーズを通しての楽しみなんかもあります。

シリーズを重ねがちな海外のドラマやアニメは謎が謎のままシーズンが終わってまた続きなんてのもありますが、グラビティフォールズはきっちり41話で終わりますし、全ての謎がしっかり解かれます。

安心して観れますね。

 

 

そしてこの通して明かされる謎のヒントが実に巧妙に散りばめられているのです。

あとは伏線ではないのですが、最後にはいままでのエピソードのキャラクター達が登場したりして、なかなかに壮観だし少年漫画を想起させる熱さです。

 

 

 

 

 

 

一夏の思い出の後に残る淡い想い

思い返すと自分の子供時代の夏休みの思い出って他の思い出とはちょっと違って、なんだか特別だったりします。

きっとそれって僕だけじゃないと思うんです。

 

 

一夏の思い出って特別非日常だけど、彼ら双子が出会うのは本当の不思議。僕らが空想した不思議を本当に体験してる彼らに、体験したことはないのにまるで自分の思い出のように重ねてしまう。

 

 

その中で彼らはいろんなことを学びます。

大切な人のために危険に立ち向かう勇気、親友の大切さ、許すという選択肢を取れる強さ、そして家族の偉大さ。

 

 

主人公の二人は夏休みの最後にそれぞれが大人になることと向き合うエピソードがあります。

大人になる事窮屈さを知り、この夏休みが終わらなければと願います。

でも彼らが体験したこの一夏を通して、夏休みの最後、「大人になる事への恐怖」に打ち勝ちます。

彼らはもう大人になる事を受け入れます。でもやっぱり少し怖いと思います。

でも大人になった僕らはそれを見て思い出すのです。自分たちもそうやっておっかなびっくりしながら大人になったことを。

 

もう体験する事のできない夏休みにノスタルジーを感じてみるのはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

最後に

ここまで書いて最後にこれ書くの申し訳ないんですが、現状日本でのグラビティフォールズの映像ソフトは出てませんし、予定もありません。(アメリカではBDboxが出ましたし、日本でも出せるように尽力するなんてコメントが発表されましたが、その後の続報がありません)

見る方法はアマゾンプライムビデオで1話ずつ購入していただくしか方法がない様子です。

ディズニーチャンネルで定期的に放送してるんですが、そもそもディズニーチャンネルにすでに加入してる人で「これからグラビティフォールズ観よう」ってなる人、いないんじゃないですか?

是非この素晴らしい作品を日本でも普及できるよう、映像ソフト化を望むばかりです。